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コラーゲンの起源
コラーゲンが地球で初めて誕生したのは、地球上の生命の起源と大きく関係し、全球凍結後の6億〜8億年前と考えられています。
全球凍結の状態が終わり、急激な気候変動の影響でコラーゲンの産生に必要な酸素が大量に作られることで、単細胞生物がコラーゲンを作り出す事に成功し、そのコラーゲンが細胞同士の接着に利用され、多細胞化が促進されたと考えられています。
コラーゲンの主要な成分であるヒドロキシプロリンは空気中の酸素を取り込んで作ることが出来るようになりました。
コラーゲンの語源
コラーゲンという言葉の語源は、ギリシャ語に由来し、「Kolla(コラー)」は「膠(にかわ)」、「gen(ゲン)」は「〜のもと」という意味があります。
「膠(にかわ)」とは動物の皮や骨を石灰水で煮出した液を冷やして固めたもので、接着作用があり、マッチの火薬を固めるのに用いたり、バイオリンなど弦楽器を作る時の接着剤として用いられています。
また、絵や写真などを切り貼りする技法をフランス語で「コラージュ(collage)」といいますが、これもかつて紙を貼り付けるのに「膠(にかわ)」を使っていたことが由来しています。
このようにコラーゲンは私たちの身近なのもとして古くから使われてきました。
コラーゲン分子概念の確立
コラーゲン線維が電子顕微鏡で観察されたのが1940年代です。
それ以降、様々な研究が世界各国の研究者により行われてきました。
現在、28種類のコラーゲン分子が知られています。
コラーゲン研究の歩み
1930年代 |
コラーゲン構造のX線散乱による研究
Corey and Wyckoff J. Biol. Chem. 114,407- (1936)
Bear JACS 64,727- (1942) |
1948年 |
コラーゲン線維の規則的な縞模様(電子顕微鏡観察)
Gross and Schmitt J,Exp.Med.88,555-568(1948) その他多数 |
1952年 |
プロリンヘリックス構造の提案
Cochran Acta Crystallogr 5,581- (1952)
Cochran And Bear, JACS 75,2783- (1953) |
1954年 |
コラーゲン3本螺旋構造の提出
Ramachandran and Kartha Nature 174,269- (1954) |
1955年 |
コラーゲン螺旋構造の研究
Crick and Rich Nature 176,780- (1955)
Ramachandran and Kartha Nature 176,593- (1955) |
1955年 |
コラーゲン線維が一定のユニット分子からなるという概念の提出
この概念上のユニットをTropocollagenと命名
GrossらPNAS,41,4- (1955)
unitの実在の証拠提出
Nishihara and Doty(1958 PNAS44,411-) |
1959-62年 |
コラーゲン分子のペプシン等酵素による可溶化成功 (ニッピ)
Collagen symposium II
Collagen symposium III, 66-93(1962)
(ニッピ 西原 特許1960年出願63年登録、アメリカ登録1964年) |
1960年 |
コラーゲンケーシング naturin ドイツ |
1962年 |
再生コラーゲン線維開発開始(C,S) (ニッピ) |
1965年 |
動物由来コラーゲン分解酵素をオタマジャクシより発見
Gross. Nagai PNAS 54,1197 |
1969年 |
軟骨型(Type II)コラーゲンの発見 コラーゲンは一種類でない
Miller EJ ProNAS 64:1264-1268 |
1971年 |
プロコラーゲンの発見
Bellamy and Bornstein Pro. Natl. Acad. Sci. USA 68,1138- (1971) |
1971年 |
Type IIIの発見
Miller EJ BBRC 42:1024-1029 |
1973年 |
Type IVの命名
Kefalides Int. Rev. Connective tissue Res. 6,63- (1973) |
1976年 |
Type Vの発見
Burgeson RE, ProNAS 73:2579-2583 1976
Chung E BBRC 71:1167-1174 (1976) |
1985年 |
コラーゲン遺伝子配列(α2 type I)の決定。当時としては一番長い配列
Boedtker, Finer and Aho, NY Acad Sci. 460,85-(1985) |
1994年 |
細胞膜上のコラゲナーゼ発見
Seiki, Nature 370,61-65 (1994) |
1987年 |
コラーゲンの細胞受容体(インテグリン)発見
Wayner, Carter J Cell Biol. 105,1873- (1987) |
1991年 |
ラミニン5の発見(integrin a3b1に結合) Carter WG ら |
1992年 |
Focal adhesion kinaseの発見
Shaller ら J Biol Chem 89, 5192- (1992) |
1997年 |
18型コラーゲン (エンドスタチン)がマウス癌治療に驚異的な力を持つ
O'Reilly, Folkman ら Cell. 88,277-(1997) |
2000年 |
インテグリンのコラーゲン結合部位特定
Knight CGらJ Biol Chem. 275,35-(2000) |
ニッピにおけるコラーゲン開発および研究
1959-62年 |
コラーゲン分子のペプシン等酵素による可溶化成功
(ニッピ 西原 特許1960年出願63年登録、アメリカ登録1964年) |
1962年 |
再生コラーゲン線維開発開始(C,S) |
1965年 |
化粧品用コラーゲン入りクリーム (ニッピ-R社) |
1969年 |
コラーゲンのアルカリによる可溶化
(ニッピ 藤井 特許1971年Hoppe Seyler Z Physiol Chem.1969
350,1257-65) |
1970年 |
コラーゲンケーシング製造本格化 |
1974年 |
コラーゲン創傷被覆剤 (明治製菓-ニッピ)
その他、縫合糸、人工腎臓、人工血管、人工角膜、止血剤への応用 |
1978年 |
医療用コラーゲンペプタイド製造 |
1986年 |
スキンケアクリーム製造開始 |
1988年 |
ニッピコラーゲン化粧品 設立 |
1998年 |
牛コラーゲンDNA配列(α2 type I)の決定
Shiraiら Matrix Biol. 17,85-(1998) |
1999年 |
加齢に伴う牛皮膚組織コラーゲンの抽出性の研究
Connective Tissue31,17-23(1999) |
1999年 |
アルカリ可溶化コラーゲンの細胞接着活性など
J.Biochem.125,676-684 (1999) |
1999年 |
コラーゲン線維形成機構
J.Biochem.126,54-67 (1999) |
1999年 |
ゼラチンアレルゲン性の研究
J Allergy Clin.Immunol 104,695-699,
J Allergy Clin.Immunol110,652-(1999) |
2000年 |
テロペプタイドの除去とコラーゲンの安定性
J.Biol. Chem. 275,25870-25875 |
2000年 |
コラーゲン特異的糖化産物CMA発見
Biochem J. 347, 23- (2000) |
2001年 |
ゼラチン食と骨密度の関係の研究(動物実験)
J. Nutr, Sci. Vitaminol. 47,84- (2001) |
2002年 |
コラーゲン線維と細胞死 (ニッピ)
Exp.Cell Res. 280,255-269 |
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